【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉


 そう言われて見つめられて、わたしは思わず彼に「何言ってるの? あなた、バカなの?」と言葉を返した。

「藤野透子。君はいい女だ」

 そしてまた変なことを言われる。

「……なんなん、さっきから。あなた酔ってるの?」

「いや?」

「あなたさっきからおかしいもの。大体、なんでわたしがあなたなんかと……」

 わたしは高城ホールディングスに恨みしかない。買収されて夕月園を失って、わたしは若女将としての職を失ったのだから。
 恨んで当然としか思えない。

「君は美しい。……その辺にウヨウヨいる女よりも、誰よりも美しい。品があって華やかで、そしてとても気が強そうだ」

「あなたねぇ……!わたしのこと、バカにしてるの?」

 何なの、この男は……!さっきからわたしをバカにしてるとか思えない!

「バカになんてしてない。俺の本音だ」
 
「本音……ですって?」

 わたしのことを何も知らないくせに、よくそんなことが言えたものね。
 本当にこの男は……。見てれば見てるだけ腹が立つ男だわ。
 こんな男のものになんて、わたしは絶対にならない。協力なんかしないし、二度と関わらない。
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