【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
「さ、買い物して帰ろうか」
赤ちゃんに話しかけるようにそう言って、病院を出る。
「少しずつ、お腹が出てきたな……」
藍の子を妊娠したと分かった時は、本当にビックリした。まさかとは思っていたけど、それが本当だったなんて思わなかった。
そして藍に利用されたんだと知った時、本当にどうにかなりそうだった。怒りが沸いて仕方なかった。
「……でもやっぱり、わたしは母親だから」
藍が検診に着いてきた時、待合室でわたしに「産んでほしい」と目を見ながら言われた時、わたしの中ではすでに覚悟は決まっていた。
だからこそ……。藍と家族になるために、わたしは藍と結婚した。
「今日はローストチキンにしよっかな」
スーパーで食材を選びながら、わたしは藍のことばかりを考えていた。
藍に喜んでもらいたいっていう一心で、自分も嬉しくなっていた。
ここまでわたしが藍のために何かをするなんてこと、考えこともなかったけど……。そういうのも、悪くない。
「後、ケーキ買わなくちゃね」
藍の大好きなフルーツタルトと、ショートケーキを買ってお祝いしなくちゃ。