【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
「この電車で、ええのですか?」
そう聞かれたわたしは「は、はい。大丈夫です」と答えた。
優しいその子は、電車の中にまで荷物を運んでくれた。
「優先席、空いてますのでどうぞ座ってください」
「ありがとうございます」
「荷物、足元でええですか?」
優先席に座ったわたしに、その子はそばに立ち問いかけてきた。
「はい。おおきに」
と、普段使わない京都弁を使ってみるけど、違和感しかない。
「お姉さん、京都の人やないの?」
その子は不思議そうにわたしを見て聞いてきた。
「ええ、まぁ。……京都に住んでからはまぁまぁ長いやけど、こういう京都弁、なんか苦手で。話しにくいし、あんま使われへんよ」
わたしはその問いかけにそう答えた。
「なるほど。お姉さん、京都の人やないんや」
「はい。 わたしは元々、関東の田舎の生まれなので……。京都の言葉は、うまく話せないんです」
「そうかぁ」
初対面の女の子にこんなに優しくされたのは、初めてで……。ちょっとだけドキドキして、ちょっとだけ緊張した。
「もう次で降ります。色々とありがとうございました。助かりました」