【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
「ゲス野郎って……。言ってくれるね、透子」
「勝手に名前を呼び捨てにしないで」
わたしは彼のことを睨みつけると、また更に言葉を続けた。
「あなた達はどうかしてる。あんなやり方は脅迫と同じよ。間違ってる、そんなの。……あなた達、銀行にも融資しないようにって圧力をかけてたわよね?そこまでして夕月園を奪いたかったの?……そこまでして、わたしたちを消したかったの?」
「……どっちにしろ、夕月園は終わりだった」
わたしはその言葉に怒りが湧いた。
「ふざけないで……!あなた達があんなことしなければ、夕月園はまだ経営出来たかもしれないでしょ? あなた達がしてることは、最低のことなのよ?そんなゲス野郎な御曹司とパートナーになるくらいなら……。わたしは死んだほうがマシだわ!」
わたしはそう言い放つと、グラスに入ったハイボールを一気に飲み干して帰ろうとした。
お財布からお札を一枚取り出し「気分が悪いわ。帰る」と言って立ち去ろうとした。ーーーその時。
「いいね、透子。ますます気に入ったよ」
彼は反省する所か、わたしの態度を見て嬉しそうに笑っていた。