【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
「ほら。ん」
と目を閉じてキスを待とうとする藍。わたしはそんな藍に「出来たよ、ネクタイ」とだけ言って藍から離れた。
「え、おい。行ってらっしゃいのキスは?」
と藍から聞かれたわたしは「行ってらっしゃーい」とだけ伝えると、洗濯物を回すためバスルームへと向かった。
「ちょっ……藍? んんっ……!?」
なのに藍はわたしの腕を掴んで離さないようにして、そのまま唇を強引に奪ってきた。
「な、何するのよ……!」
藍のヤツ、また強引にキスしてきたし……!
「何って、行ってきますのキス。したんだけど?」
なんて藍はニヤニヤ笑いながら言ってきた。
「もう……。行ってらっしゃい」
「行ってきます。愛してるよ、透子」
嬉しそうな表情で、藍は仕事に出かけて行った。
「……はぁ」
なんかこう、藍には最近困ることが多い気がする……。不意打ちでキスしてきたりするし、なんかこう、不意打ちってダメだよね……。
はぁ……。毎日毎日、わたしは藍に驚かされてばかりだな。
「愛してるよ……か」
毎日こうやって愛してると言ってくれるのは、今までの人で藍だけだ。