【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
街の人達のお祝いの言葉に父さんもとてもうれしそうで、ずっと笑顔で受け答えしていた。顔が赤らんでいて、もう酔っ払いはじめているようだ。
「いや、しかし、まさかうちの娘が聖女様だなんて考えもしなかった」
「俺はあの子には何かあると思っていたよ」
「そうだよ、何しろ『花のモーリーン』だ」
代々仕立て屋を営む我が家のお得意さん達が、そう広くもない食堂に陣取って酒杯を空ける。
わたしは次の酒を用意して、お酌して回っていた。
「それにしても、ねぇ」
父さんの幼馴染みでもある中年の男性の視線が、わたしのほうを向いた。
「顔立ちは同じなのに、差が付いちまったね」
「モーリーンちゃんが聖女になるのなら、店はマリアーナが継ぐのかい?」
わたしに注目が集まってしまった。
父さんは深くため息を吐いた。
「そうなんだよ。モーリーンに継いでほしかったんだが……」
「いつから、こんな陰気で底意地の悪い娘になってしまったのかしら」
ちょうど料理の皿を持ってきた母さんも、わたしを汚いものを見るかのような目で見つめる。
「いや、しかし、まさかうちの娘が聖女様だなんて考えもしなかった」
「俺はあの子には何かあると思っていたよ」
「そうだよ、何しろ『花のモーリーン』だ」
代々仕立て屋を営む我が家のお得意さん達が、そう広くもない食堂に陣取って酒杯を空ける。
わたしは次の酒を用意して、お酌して回っていた。
「それにしても、ねぇ」
父さんの幼馴染みでもある中年の男性の視線が、わたしのほうを向いた。
「顔立ちは同じなのに、差が付いちまったね」
「モーリーンちゃんが聖女になるのなら、店はマリアーナが継ぐのかい?」
わたしに注目が集まってしまった。
父さんは深くため息を吐いた。
「そうなんだよ。モーリーンに継いでほしかったんだが……」
「いつから、こんな陰気で底意地の悪い娘になってしまったのかしら」
ちょうど料理の皿を持ってきた母さんも、わたしを汚いものを見るかのような目で見つめる。