【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 二つめは、眷属神の神力が消えるのを待ち、普通の女性として妻となり、母となる道。
 時間はかかるかもしれないけれど、わたしを染めている神力が薄れれば、他の女性が聖なる水晶に認められる可能性もあるだろう。

 そして、三つめ。
 国を捨て国民の幸福には目をつぶり、ヴォルフとふたり、ひっそりと深い森の奥で隠れ住む道。

「おまえが選べ」

 ヴォルフは静かに言った。

 ……ヴォルフ。
 強引にわたしをさらっていくこともできるのに、あなたはまた、わたしに選ばせてくれるのね。

 身代わりの聖女として大神殿で暮らしていた日々。
 あの頃もそうだった。
 聖女に期待して優しくしてくれる国王陛下や神官達をだましているという罪悪感と、本当に聖女としてやっていけるのかという未来への不安。
 つらくて苦しくて逃げ出したかったわたしを、ヴォルフは見守ってくれた。連れ去って懐に保護するのは簡単だっただろうに、わたしが道を決めるのを待ってくれた。

 わたしの道。
 どうする? どの道を選ぶ?

 ああ、いっそ選ぶ道がなければ、わたしはヴォルフと行けたのに……。





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