【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
深淵の森を出てからの生活や聖なる水晶のことをぽつりぽつりと話していた陛下とわたしの前に、温かいお茶が出される。
「マリアーナ……、いや聖女殿。これまでの度重なる無礼を許してほしい」
陛下が姿勢を正し、改まった口調で言った。
「無礼、なんて」
「私は聖なる水晶の破損が、強すぎる女神の加護のためだったとは思いもしなかった。それほど強い加護を持っていた聖女は歴代でもいなかったのだ」
「それは……いえ、なんでもありません」
「あなたが聖女として帰ってきてくれたら、王国はかつてない恩寵を得られるだろう……」
陛下が椅子から立ちあがり、わたしの前で片膝を立ててひざまずく。
周囲の視線が集まる。そして、騎士達も神官達もいっせいにわたしのほうを向いてひざまずき、頭を垂れた。
「陛下!? 皆様も!?」
「聖女マリアーナ、どうか国民のために、王宮へ――私のもとへ、戻ってもらえないだろうか」
大勢の男達が静かにわたしの言葉を待っていた。
レクトマリア神聖王国の頂点に立つ人が……一度はわたしを聖女の名をかたる強欲な女だと断罪した国王陛下が、わたしの前にひざまずき、わたしの帰還を乞うている。
「マリアーナ……、いや聖女殿。これまでの度重なる無礼を許してほしい」
陛下が姿勢を正し、改まった口調で言った。
「無礼、なんて」
「私は聖なる水晶の破損が、強すぎる女神の加護のためだったとは思いもしなかった。それほど強い加護を持っていた聖女は歴代でもいなかったのだ」
「それは……いえ、なんでもありません」
「あなたが聖女として帰ってきてくれたら、王国はかつてない恩寵を得られるだろう……」
陛下が椅子から立ちあがり、わたしの前で片膝を立ててひざまずく。
周囲の視線が集まる。そして、騎士達も神官達もいっせいにわたしのほうを向いてひざまずき、頭を垂れた。
「陛下!? 皆様も!?」
「聖女マリアーナ、どうか国民のために、王宮へ――私のもとへ、戻ってもらえないだろうか」
大勢の男達が静かにわたしの言葉を待っていた。
レクトマリア神聖王国の頂点に立つ人が……一度はわたしを聖女の名をかたる強欲な女だと断罪した国王陛下が、わたしの前にひざまずき、わたしの帰還を乞うている。