【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「今は……もういません。わたしが国に戻ると決めると去っていきました」
陛下の目の色が一瞬昏くなる。内側に熾火のような揺らめきが見えた気がした。
「それは男か?」
「そう、ですね」
「……よもやその男と関係を持ったとは言わぬだろうな」
「関係?」
「男女の関係だ。もしそのようなことがあったのなら、その男はただではすまないぞ」
視線に含まれた熱が、火吹き棒で風を送られた熾火のように熱く燃えあがる。
「聖女の初夜権は私にある。それは譲れぬ」
そう言うと、陛下はわたしの手を握った。
「……陛下」
わたしがそっと手を抜こうとすると、さらに強く握られる。
「その……そういうことはありませんでした」
「そうか」
焚き火の炎の陰で、陛下の太い指がわたしの手の甲をゆっくりと撫でた。
「王宮に戻ったら、すぐに儀式の準備をする。できるだけ早く、聖女継承の儀、そして、初夜の儀を執り行うつもりだ」
「…………」
わたしは応えられずに無言でうつむいた。
陛下の目の色が一瞬昏くなる。内側に熾火のような揺らめきが見えた気がした。
「それは男か?」
「そう、ですね」
「……よもやその男と関係を持ったとは言わぬだろうな」
「関係?」
「男女の関係だ。もしそのようなことがあったのなら、その男はただではすまないぞ」
視線に含まれた熱が、火吹き棒で風を送られた熾火のように熱く燃えあがる。
「聖女の初夜権は私にある。それは譲れぬ」
そう言うと、陛下はわたしの手を握った。
「……陛下」
わたしがそっと手を抜こうとすると、さらに強く握られる。
「その……そういうことはありませんでした」
「そうか」
焚き火の炎の陰で、陛下の太い指がわたしの手の甲をゆっくりと撫でた。
「王宮に戻ったら、すぐに儀式の準備をする。できるだけ早く、聖女継承の儀、そして、初夜の儀を執り行うつもりだ」
「…………」
わたしは応えられずに無言でうつむいた。