【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 ある程度、怪しまれるのはしょうがない。わたし自身でさえ、自分が本物の聖女だなんて未だに実感できないのだから。
 前にわたしの聖女教育を担ってくれていた女性神官―― ジャネリーさんが、ためらいながら声を上げた。

「もしや最初に聖女様として大神殿にいらしたのは、マリアーナ様なのでしょうか」
「え?」
「聖なる水晶が燃えあがりひびわれたという、一度目の聖女継承の儀のしばらくあとから、聖女様がお変わりになられたように思っていたのです」
「それは……あの」

 答えてよいものなのかどうかわからず、迷ってしまう。
 まごまごしていると、ジャネリーさんはひとり納得したようだった。

「差し障りのあることでしたら、お答えは不要でございます。マリアーナ様、わたくし達はマリアーナ様を心から歓迎いたします。改めてよろしくお願い申し上げます」

 彼女は両手を胸の前で組み、わたしの足もとにひざまずいた。騎士のように片膝を付くのではなく、両膝を付く。
 その場にいる全員が同じ姿勢を取って、深く頭を下げた。
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