【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
8.双子姉妹の数奇な運命
誰もが言葉を失い、寝支度をしていたわたしとそれを手伝う数人の女性神官がいた部屋は、しんと静まり返った。
モーリーンは室内に一歩踏みこんだところで、あ然として立ち止まっていた。
「……マリアーナ!?」
わたしは立ちあがり、モーリーンの前に進み出た。
黒髪、青い目、白い肌。
細部にいたるまでそっくりな、わたしの双子の妹。
「久しぶりね、モーリーン」
「なんで……なんで、あんたがここにいるの!? 追放になったんじゃなかったの!?」
モーリーンは目をつりあげ、わたしを怒鳴りつけた。
「モーリーン、ごめんね。本当の聖女は、モーリーンじゃなかった。気が付くのが遅くて……傷つけて、ごめんなさい」
「何を言って……。それじゃ、まるであんたが聖女みたいじゃない」
「…………」
「嘘よ。……嘘! 『蕾のマリアーナ』が――地味でのろまで嫌われ者のマリアーナが、聖女なんてありえない!」
わたしは深く息を吸いこんで、思いきって顔を上げた。
「わたしが聖女だったの」