【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
……もしあの時、神殿の森でヴォルフの尻尾を見つけなかったら。
もし、ヴォルフの怪我の手当てをしなかったら。
もし、モーリーンが茂みをのぞきこまず、ヴォルフの神力を浴びなかったら。
時を遡って考えても、ヴォルフとの出逢いを否定することなんかできない。
『もし』の世界はこの世のどこにも存在しない。
「私も聖女継承の儀が終わったら、大神殿の神殿長を辞し、北方神殿への赴任を願い出るつもりです」
「神殿長様……?」
神殿長は数日前よりもずっと歳を取ったような顔で微笑んだ。
「マリアーナ様を偽物と断じ、普通の少女であったモーリーン様を聖女と見誤った私は、まだまだ女神レクトマリアへの信心が足りないのでしょう。モーリーン様を支え、北方神殿で贖罪を果たそうと思います」
「そうですか……。女神様のご加護がありますように」
「ありがとうございます」
もし、ヴォルフの怪我の手当てをしなかったら。
もし、モーリーンが茂みをのぞきこまず、ヴォルフの神力を浴びなかったら。
時を遡って考えても、ヴォルフとの出逢いを否定することなんかできない。
『もし』の世界はこの世のどこにも存在しない。
「私も聖女継承の儀が終わったら、大神殿の神殿長を辞し、北方神殿への赴任を願い出るつもりです」
「神殿長様……?」
神殿長は数日前よりもずっと歳を取ったような顔で微笑んだ。
「マリアーナ様を偽物と断じ、普通の少女であったモーリーン様を聖女と見誤った私は、まだまだ女神レクトマリアへの信心が足りないのでしょう。モーリーン様を支え、北方神殿で贖罪を果たそうと思います」
「そうですか……。女神様のご加護がありますように」
「ありがとうございます」