【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 わたくしは確信を得たくて、気が付くと聖女様に質問していました。

「もしや最初に聖女様として大神殿にいらしたのは、マリアーナ様なのでしょうか」
「え?」
「聖なる水晶が燃えあがりひびわれたという、一度目の聖女継承の儀のしばらくあとから、聖女様がお変わりになられたように思っていたのです」
「それは……あの」

 マリアーナ様はお困りのようでした。
 今モーリーン様は国王陛下に会いに行っているし、何か政治的な裏があるのかもしれない。聖女様を悩ませるのは本意ではありません。

「差し障りのあることでしたら、お答えは不要でございます。マリアーナ様、わたくし達はマリアーナ様を心から歓迎いたします。改めてよろしくお願い申し上げます」

 わたくしは膝を折り、マリアーナ様に忠誠を捧げました。広間に集まった女性神官達全員が同じ姿勢で喜びを表現します。

 マリアーナ様。
 わたくし達の聖女様。
 また聖女様にお会いできて、本当にうれしく思います。

「マリアーナ様、お帰りなさいませ」



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