【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
第四章 聖女の初夜権は誰のもの?
1.聖女を継ぐ者
大神殿に戻り、モーリーンと思わぬ形で再会をしてから数日後。
わたしにとっては二度目の聖女継承の儀が執り行われた。
王宮の大広間は豪華なシャンデリアで明るく照らされ、夜の暗さに慣れた目にはまるでここだけ昼間のように思えた。
中央には立派な演壇が設えられ、そのまわりを高位の神官達が取り囲んでいる。さらに外側には、煌びやかに着飾った貴族の男女が集まっていた。
前回よりも人数が増えたような……気のせいかしら。
「レクトマリア神聖王国の新たな聖女、マリアーナ様のご来臨です」
わたしに付き添ってくれていた神殿長が声を張って告げると、大広間は一瞬静まり返り、その後ざわめきがあふれた。
「本当にそっくり……」
「モーリーン様ご本人ではないのかしら?」
「……双子のご姉妹なんですって」
「まあ……」
一度目の時もいろいろ言われていたのかもしれない。緊張しすぎていて、全然耳に入らなかった。
慣れたわけではないけれど、今回は少し冷静に大広間の様子を見ることができた。
「聖女マリアーナ」
後ろからわたしの名を呼ぶのは国王陛下の声だ。