【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
わずかに音を立て、ついに扉が開いた。
陛下の部屋へとつながっている扉だ。
「…………陛下?」
「やあ、驚かせたらすまない」
「え……」
張りのある若々しい声に驚く。
入ってきたのは陛下ではなく、王太子エウスタシオだった。
「お、王太子様!?」
聖女継承の儀の時はにこにこして穏やかだったのに、酷く固い真剣な表情をしている。
「王太子様、なぜこんなところに?」
「聖女殿に相談がある。突然で申し訳ないのだが、本当に今しかないのだ」
「相談、ですか」
王太子様はわたしの目を真っ直ぐに見つめる。
「時間がないから、率直に言うよ。マリアーナ嬢、私の聖女にならないか?」
「は……っ!?」
国王陛下に似た黒褐色の髪はやや長めで、瞳は王妃様に似た明るい榛色。背は高いけれど、国王陛下ほど体に厚みはない。
真面目な顔をしていると、頭の良い文官のように見えた。
「驚くのも当然だ。しかし、これはよく考えた末でのことなのだ」
「……どういうことですか?」
陛下の部屋へとつながっている扉だ。
「…………陛下?」
「やあ、驚かせたらすまない」
「え……」
張りのある若々しい声に驚く。
入ってきたのは陛下ではなく、王太子エウスタシオだった。
「お、王太子様!?」
聖女継承の儀の時はにこにこして穏やかだったのに、酷く固い真剣な表情をしている。
「王太子様、なぜこんなところに?」
「聖女殿に相談がある。突然で申し訳ないのだが、本当に今しかないのだ」
「相談、ですか」
王太子様はわたしの目を真っ直ぐに見つめる。
「時間がないから、率直に言うよ。マリアーナ嬢、私の聖女にならないか?」
「は……っ!?」
国王陛下に似た黒褐色の髪はやや長めで、瞳は王妃様に似た明るい榛色。背は高いけれど、国王陛下ほど体に厚みはない。
真面目な顔をしていると、頭の良い文官のように見えた。
「驚くのも当然だ。しかし、これはよく考えた末でのことなのだ」
「……どういうことですか?」