【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「おまえはやっぱりうちの店を継げばいい。モーリーンなら、喜んで婿になってくれる男がたくさんいるだろう」

 父さんは、むしろほっとしたような口調だ。
 少し鼻をすすったモーリーンが、涙声でわたしに話しかける。

「マリアーナなら……大丈夫。マリアーナはしっかりしてるもの……。きっとうまく行くわ」

 母さんは、けなげに微笑むモーリーンの頭を柔らかく撫でた。

「おまえは優しすぎるのよ。聖女の名誉まで、マリアーナに譲ってあげるなんて」
「ううん、全部あたしのわがままなの。でも、双子のマリアーナにしか頼めないの。……マリアーナ、ごめんね」

 申し訳なさそうに涙をぬぐうと、モーリーンはきゅっと口元を引きしめて、真剣な顔をした。

「神殿の神官から、家族にも知られないようにって念を押されたの。だから、誰にも言わないでね。あたしが話してしまったことがばれたら、父さんや母さんもどうなるかわからない……」

 そして。
 わたしと同じ顔をした、双子の妹は。
 身代わりで聖女になるわたしに、最後の宣告をした。

「聖女の本当の役割が、娼婦みたいなものだったなんて――」





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