【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
誰かを想うことも子を持ち慈しむことも自分に禁じ、ただひたすら国民の幸福を祈る。それだって一つの尊い生き方なのかもしれない。
自分では選べない、という厳然とした事実をのぞけば。
「確かに先々代の聖女は早世したな」
早世……。
「すぐに次の聖女を探し、先代の聖女と相見えることができた。先代は従順な大人しい女だった」
そうか……。もしかしたら女神の加護は聖女から完全に失われるのではなくて、国王と聖女のつながりの中に残るのかもしれない。だから、聖女の死でも国王の死でも、その代の加護はそれで終わる。
聖女が亡くなった時は新たな聖女を探して国王のものとし、国王が亡くなった時には聖女はようやく引退できる。
「だが、だからなんだと言うのだ。国より重いものはない。聖女ひとりのために国民を犠牲にせよと言うのか」
「いいえ、そうではなくて……。わたし達は女神の加護に頼りすぎているのではないでしょうか。突然選ばれて、人生を決められてしまった代々の聖女の犠牲にあぐらをかいて、平然と生きていくのは……本当に女神様の望むことなのでしょうか」
自分では選べない、という厳然とした事実をのぞけば。
「確かに先々代の聖女は早世したな」
早世……。
「すぐに次の聖女を探し、先代の聖女と相見えることができた。先代は従順な大人しい女だった」
そうか……。もしかしたら女神の加護は聖女から完全に失われるのではなくて、国王と聖女のつながりの中に残るのかもしれない。だから、聖女の死でも国王の死でも、その代の加護はそれで終わる。
聖女が亡くなった時は新たな聖女を探して国王のものとし、国王が亡くなった時には聖女はようやく引退できる。
「だが、だからなんだと言うのだ。国より重いものはない。聖女ひとりのために国民を犠牲にせよと言うのか」
「いいえ、そうではなくて……。わたし達は女神の加護に頼りすぎているのではないでしょうか。突然選ばれて、人生を決められてしまった代々の聖女の犠牲にあぐらをかいて、平然と生きていくのは……本当に女神様の望むことなのでしょうか」