【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 わたしを横たわらせると、陛下が足の間に膝を付く。
 少し頭がぼんやりしてきた……。視界に霞がかかっているような気がする。

「あつい……」
「今、楽にしてやろう」

 なぜだろう。
 あんなに嫌だったのに、思ったほど抵抗感がない……。
 なんだか体の力が抜けて楽になってきた。

 ああ、これが……前にヴォルフが言っていた、女神の加護の契約を果たすための鍵。鍵が鍵穴に入った時、国王と聖女の契りが成立する。

 そうしたら……王国はまた平和になる。
 みんな、豊かな暮らしができるようになる。
 良かった……。

「ヴォル……フ」

 ……違う。
 何かを忘れている気がする。

 あの時、ヴォルフはなんと言っていたっけ……。

 どんどんぼうっとしていく意識をなんとか保って、ヴォルフの言葉を思い出す。

『……おまえがここに国王を受け入れて子種を出されれば、女神との契約が成される……』

 そう……契約が成されたら、わたしは国王陛下のものになる。
 女神の加護によって結ばれた、国王と聖女の絆ができてしまう……。

『俺はもう……マリアーナ以外の女をそばに寄せるつもりはないんだ……』
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