【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
獣は人間の王を睥睨すると、威圧するように猛々しく咆哮した。
その獣は一見、狼にも思えた。
ただし。野生の狼とは比べものにならないほどの巨大さ、まるで発光しているような白銀色の毛並み、そして、天空から飛びこんできた異常性をのぞけば。
いかにも普通ではない白銀色の狼……。
「…………っ」
わたしは息を呑んだ。
「侵入者め、魔獣か!?」
陛下が大声で叫び、扉の外に控える近衛騎士を呼ぶ。
鍵のかかった扉を蹴破り、双月の間になだれこんできた何人もの近衛騎士が、陛下の前に立ち剣をかまえた。
「魔獣を仕留めよ!」
殺気立つ騎士達を威圧するように、聖なる獣が再び恐ろしい迫力で咆哮する。
荒々しさと神々しさを同時にまとう、神の獣の遠吠え。怒り、恐れ、焦り、そんな人間の感情を凌駕する無慈悲な叫びが、夜の空気をビリビリと震わせる。
「窓が……っ」
双月の間の窓がすべて砕けた。
続いて館のあちこちから、遠く近く、窓硝子の割れる音がした。おそらく館中の窓が今粉々になったに違いない。
「陛下! 神具の剣が……!!」
陛下が掲げていた大剣もまた、風に吹かれる砂のようにサラサラと崩れていく。
その獣は一見、狼にも思えた。
ただし。野生の狼とは比べものにならないほどの巨大さ、まるで発光しているような白銀色の毛並み、そして、天空から飛びこんできた異常性をのぞけば。
いかにも普通ではない白銀色の狼……。
「…………っ」
わたしは息を呑んだ。
「侵入者め、魔獣か!?」
陛下が大声で叫び、扉の外に控える近衛騎士を呼ぶ。
鍵のかかった扉を蹴破り、双月の間になだれこんできた何人もの近衛騎士が、陛下の前に立ち剣をかまえた。
「魔獣を仕留めよ!」
殺気立つ騎士達を威圧するように、聖なる獣が再び恐ろしい迫力で咆哮する。
荒々しさと神々しさを同時にまとう、神の獣の遠吠え。怒り、恐れ、焦り、そんな人間の感情を凌駕する無慈悲な叫びが、夜の空気をビリビリと震わせる。
「窓が……っ」
双月の間の窓がすべて砕けた。
続いて館のあちこちから、遠く近く、窓硝子の割れる音がした。おそらく館中の窓が今粉々になったに違いない。
「陛下! 神具の剣が……!!」
陛下が掲げていた大剣もまた、風に吹かれる砂のようにサラサラと崩れていく。