【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 聖女は、娼婦……。

 モーリーンが神官から聞いた聖女の真実とは、とても女性には受け入れがたいものだった。

 モーリーンは聖女になれば、みんなに大切にされて、優雅な生活が送れると思っていたらしい。聖女として王国に幸いをもたらす報酬として。
 もちろん、聖女には王族にも匹敵する豊かな生活が保証されているのだが……、それには条件があった。

「聖女は……依り代?」
「そうよ。聖女であるあたしには、女神様の加護がある。要するに、その加護を国王陛下に移すための道具みたいな扱いよね」

 洗い忘れた雑巾を見つけた時のように、険しく眉をしかめるモーリーン。

「しかも、その手段が……なんて汚らわしいの! 聖女の初めてを捧げなければいけないなんて。いくら国王陛下とは言え、五十過ぎよ。おじいさんじゃない」

 確かにそんなの、いくら人々の幸せのためだと言われても、さすがにつらすぎる。見たことも会ったこともない、ずいぶん年上の男性に、乙女を捧げるだなんて。

 そう。
 聖女の『初夜』には、特別な意味があった。
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