【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
大樹の陰から人の姿のままのヴォルフが現れる。
「ヴォルフ……。幻じゃ、ないのよね。本当に、ヴォルフ?」
「ああ、俺だ。幻じゃない」
「わたしは助かったの? 国王陛下や騎士の人達は?」
「大丈夫だ。おまえに手出しする者はもういない」
涙がひと粒こぼれた。
穏やかな安堵感が胸の内にあふれてくる。
「怖かった……。さみしかった。ヴォルフ、抱きしめて」
「マリアーナ……」
ヴォルフがかかんで、その腕につつみこんでくれる。大きな手がゆっくりと頭を撫でる。
「ひとりにして悪かったな。寝台の準備をしてた。まだ全部はできあがってないけど、とりあえず寝られるから」
「寝台?」
「作ったんだ」
両腕をわたしの背中と膝裏に入れてそっと抱きあげ、ゆっくりと歩きはじめる。
「大丈夫か?」
「え?」
「何か飲まされたんだろ。匂いがする。薬みたいな匂いが混ざっている」
「ヴォルフ……。幻じゃ、ないのよね。本当に、ヴォルフ?」
「ああ、俺だ。幻じゃない」
「わたしは助かったの? 国王陛下や騎士の人達は?」
「大丈夫だ。おまえに手出しする者はもういない」
涙がひと粒こぼれた。
穏やかな安堵感が胸の内にあふれてくる。
「怖かった……。さみしかった。ヴォルフ、抱きしめて」
「マリアーナ……」
ヴォルフがかかんで、その腕につつみこんでくれる。大きな手がゆっくりと頭を撫でる。
「ひとりにして悪かったな。寝台の準備をしてた。まだ全部はできあがってないけど、とりあえず寝られるから」
「寝台?」
「作ったんだ」
両腕をわたしの背中と膝裏に入れてそっと抱きあげ、ゆっくりと歩きはじめる。
「大丈夫か?」
「え?」
「何か飲まされたんだろ。匂いがする。薬みたいな匂いが混ざっている」