【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 聖女が処女を与えた男は、女神の加護を得るのだ。その代わり、聖女はただの女性に戻ってしまう……。

「マリアーナなら、あたしとそっくりだし、きっと大丈夫。もう少し愛想よくすれば、きっとおじいちゃんにも可愛がってもらえるわ」
「でも……、わたしは本物の聖女じゃないし、女神様の加護も持っていないのに……」
「その辺はうまくごまかしてね。マリアーナはそういうの、得意でしょう?」
「え……?」

 ごまかすのが得意? わたしが?
 わけがわからず、言葉に詰まる。そんなわたしに母さんと父さんが追い討ちをかけた。

「結婚するあてもなかったのに、国一番の玉の輿じゃないの。よかったわね、マリアーナ」
「おまえ達がよく似た双子でよかった」

 あ然とするわたしを置いて、三人はどうやって自然に入れ替わりをすませるかを話しはじめた。

 ……わたしは、モーリーンとそっくりなことだけが取り柄なの?
 わたしはモーリーンの控えにすぎないの?

 誰か……誰か、わたしを見て。
 わたしだけを愛して。

 心の中の悲鳴は、誰にも届かなかった。





 * * * * *





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