【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 ヴォルフがわたしを抱き、そっと寝台に横たえた。わたしの体を隠しているシーツを優しく取り去る。
 軽く口づけした唇がつっと喉をたどった。

「あっ、やぁ……あっ、あぁん」

 嬌声があふれる。まったく抑制が効かない。

「ヴォルフ、いい、きもちいいのっ」

 目の裏が真っ白になる。息があがって苦しい。

「くっ……」

 ヴォルフが苦しそうにうめいた。
 何かをこらえるように、眉間にしわを寄せる。額に玉のような汗が浮かんでいる。

「ヴォルフ……ヴォルフ、大丈夫?」
「俺はいいから。今は自分のことだけを考えていろ」

 金色の瞳を細めて微笑むヴォルフ。

「ヴォルフ、好き」

 すぐにそれしか考えられなくなる。

 ヴォルフが好き。
 ヴォルフが好き……。

 少しずつ、少しずつ、気持ちよさがたまっていく。

「何も不安に思わなくていい。俺を信じて快感に逆らうな」

 体がふわっと浮きあがる気がした。

「あぁ、あぁぁっ」

 また頭の中が白くなった。白い世界に星のような光がパチパチと瞬く。
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