【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
第五章 聖女に愛を乞う獣
1.愛と性の女神
小鳥達がにぎやかにさえずっている。
木々の葉がさわさわと風に揺れる音がする……。
「ん……」
「おはよう、マリアーナ」
寝台の傍らが沈み、低い声が耳もとでささやいた。
「ヴォルフ……?」
かすかに花の香りがする。
ゆっくりと目を開けると、目の前にヴォルフの整った顔があった。
「…………!」
「ん? どうした?」
あまりにかっこよくて、びっくりした……。
昨日までも素敵だったけど、今までよりもっと輝いて見える。
「お、おはよ……」
寝台の端に座ったヴォルフはもう着替えていた。
ふと見ると、枕もとの小卓に木のコップが置かれていて、そこに小さな花束が飾られている。
「お花……?」
「ああ。朝、摘んできたんだ」
うれしい……。
喜びで、顔がぽっと赤くなる。
「……体は大丈夫か?」
昨夜のことを思い出して、さらに真っ赤になってしまった。
「う、うん、もう平気」
あの体がぐずぐずにとけてしまうような熱はさっぱりと消えている。