【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
2.男は狼、女は聖女
『で、気持ちが通いあったのに、こんなにお互い大好きなのに、なぜマリアーナちゃんはまだ処女なの?』
気持ちが通いあって、お互い大好き……。
傍からもそう見えるのかしらと少し照れてしまったけれど、白い玉はぷんぷんと怒っている……ように思える。
『だって、わたくし、愛と性であまねく世界を満たしたいのよ。心は幸福であふれ、体は快感で満足する。みんな幸せになれるでしょう?』
女神様の言葉を聞きながら、やっぱり女神様は聖女の犠牲なんて望んでいない気がした。
――聖女とは、女神レクトマリアの加護を為政者に与える者だ。
昨夜の国王陛下の言葉がよみがえる。
愛とか恋とか関係なく、女神の加護を移すためだけに国王に処女を捧げる存在。己を殺し誰かを愛することも許されず、国民の幸福を祈りつづける聖女。
聖女という存在はなぜこの世に生み出されたのだろう。
「じゃあ、なんで聖女なんて創ったんだよ」
ヴォルフがわたしが考えていたのと同じことを言った。
『浪漫じゃないの。女はみんな愛を知って聖女になるのよ!』
白い玉が楽しそうにふよんふよんと飛びまわる。