【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「ヴォルフの眷属……?」
「ああ。俺は女神レクトマリアの眷属神。マリアーナは俺の眷属。神族ではないと思うが」

 神族ではない……。

 良かった。神様になったわけじゃないんだ……。
 畏れ多くて、もの凄く怖くなってしまった。
 眷属神と眷属がどう違うのかはよくわからないけれど、

「ヴォルフの一族ってことよね?」
「そうだな。あんな女神だが、俺の命運はあいつが握っている。同じように、マリアーナの命は俺の手の中にあるはずだ。……いやか?」
「ううん、いやじゃない。ヴォルフならうれしい」
「マリアーナ……愛してる」

 柔らかく微笑んで、そっと唇を寄せてくるヴォルフ。
 わたしの旦那様になるひと。わたしの命を預かってくれるひと。

「俺はいつ自分が生まれたのか、どうやって育ったのか、覚えていない。たぶん数百年前からこのままの姿だ。マリアーナも俺が死ぬまで年も取らず死ぬこともないだろう」
「死ぬって……? 寿命はどのくらいなの?」
「どうかな。大神の考えることは本当によくわからないんだ」
「そっか……」
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