【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「俺は近々女神に頼もうと思っていた。マリアーナが老いて死ぬ時に俺も滅してくれと」
「ヴォルフ? そんな」
「マリアーナがいない世界で永遠に生きていくなんて真っ平だ」

 ヴォルフは少し笑った。

「まあ、俺はマリアーナといられれば、どちらでもいい」





 寝台から立ちあがって部屋を見回すと、工具などで散らかっていた部屋はいつの間にか綺麗に片づけられていた。
 寝台の脇に小物棚、奥のほうに衣装棚や化粧箪笥があり、机や椅子もきちんと置かれている。木製の家具類は素朴な味わいを残しながらもお洒落で可愛い。

「素敵な部屋ね」
「ああ、作れなさそうなものは街で買ってきたんだ。マリアーナに似合いそうなものを選んだんだが、どうかな?」
「わたしのために? ……とってもうれしい。ありがとう」

 ヴォルフに抱きついて頬に口づけると、ヴォルフがうれしそうに目を細めた。
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