【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
4.楽園の島へようこそ
木の上の家から螺旋階段を下りていくと、大樹の傍らに小さな泉が見えた。
「綺麗な水……」
透きとおった水の中に小さな泡がプクプクと湧き出している。水はあまりにも透明で、水底の砂地が浮いて見えるほどだった。
泉からあふれた水が細い川を作って、湖のほうへ流れていた。手をひたすとひんやりと冷たい。
「水はこれを使ってる。食料庫はとりあえずこっち」
ヴォルフがわたしの手を取って導いたのは、家のある木の陰になっていた大樹の洞。中に扉つきの棚が設置されている。
「この木の横に小屋を建てて、かまどや炉を作ろうと思ってる」
「凄い……!」
ヴォルフと一緒にいろんなことができそうでわくわくしてくる。
「とりあえず昼にしようか」
「うん!」
* * * * *
昼ごはんをすませたあと、ヴォルフは温泉に連れていってくれた。
森の中を歩いていくと、湖畔に出る。
そこは細長い砂浜になっていた。白い砂浜は島の一部を取り囲んでいるようだ。
「ここに温泉が湧いているの?」
「ああ」
少し先に小さな丸太小屋が見えた。