【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 煌めく湖に浮かぶ島々。緑輝く湖畔の森。遠くには白く霞んだ山脈が見える。
 美しい眺望に目を奪われて、心ここにあらずの状態で生返事していると、近くでチャプンとお湯の跳ねる音がした。

 何気なく振り向くと、ヴォルフが湯船の中に立っていた。

「…………!?」

 裸で。
 しかも、目の前に立っている。
 お湯に入るのだから裸になるのは当然なんだけど。

「いい天気だな。遠くまで良く見える」
「ヴォ……ぜ……」
「ん? なんだ?」
「……全部! 見えてる!」
「ふーん。気になる?」
「なりません!」

 あたふたしながら目を逸らすと、ヴォルフが大きな声で笑った。
 わたしはバシャバシャと顔にお湯をかけた。





「ヴォルフ、いたずらしないで……」
 
 体と髪を洗ったあと、わたしは朝食の時と同じようにヴォルフの膝にのせられていた。温泉の中で。

「ん……」
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