【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「今はだめだったら。またのぼせちゃう」

 あちこちを撫でたりくすぐったりするヴォルフの手の動きに、変な声が出てしまいそうで困ってしまう。

「もう少し」

 手を止めてくれたかと思ったら、今度は首筋の匂いを嗅がれて舐められる。
 こういうところはやっぱり犬……違った、狼っぽい。

「そろそろ出ましょうか」
「ん、わかった」

 うなじにチクンと小さな痛みが走った。

「何かしら? 今、虫に刺されたみたい」
「……大丈夫だ。何もいない」
「そう?」
「また虫が来るかもしれないけど、気にしなくていい」
「ヴォルフ?」

 都合の悪いことを誤魔化している口調に、虫刺されではなくヴォルフが何かしたんだと想像が付いた。

 もう……、ヴォルフなら何をしてもいいのに。

 でも、知らん顔のヴォルフがちょっと可愛かったから、そのままにしておいた。





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