【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
7.森の木陰の結婚式
大樹の陰の平らな草地に大きな敷物を出し、簡単な食べ物を並べて昼食にした。なぜテラスの机ではないかというと、女神様も加わりたがったからだ。
女神様とわたしが敷物の上に座って、ヴォルフがあちこち動きまわり、飲み物にパン、チーズ、野菜や果物を持ってきてくれる。
「ヴォルフー、わたくし葡萄酒がいいわ」
「酒はない!」
「ええー、気が利かないわね。葡萄酒くらい置いておきなさいよ」
わたしが手伝えないのは、単純に立てないから……。足がガクガクして、産まれたての仔鹿のようになってしまうのだ。
ヴォルフは甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるけど、あからさまに甘い瞳がくすぐったくて、女神様の前だというのについ顔がにやけてしまう。
「いいわねえ、新婚さん。わたくしも誰か呼び出そうかしらね」
「誰か……?」
「そうだわ、忘れてた。誰かじゃなくて、眷属神達を呼ぼうと思っていたんだわ」
その女神様の言葉を聞いたヴォルフが凄い勢いで戻ってくる。わたしを素早く抱きあげて、隠すように覆いかぶさった。
「ヴォルフ?」
「じゃあ、呼ぶわよ。みんな、いらっしゃーい!」