【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 つまり……獅子も虎も狐も、みんな人化する?

「え、じゃあ……みんな、男のひと?」

 眷属神達のほうを振り返ると、彼らは三者三様の視線でわたしを矯めつ眇めつして見ていた。

「うっふっふ、恋は波瀾万丈ね」

 女神様が適当なことをつぶやくと、「さあ、これからが本番よ!」と叫んだ。

「ほ、本番って」

 ヴォルフを見上げて確認しても、首を横に振るばかり。
 女神様が片目をつぶって笑い、朗らかに宣言した。

「結婚式をするわよ、結婚式! 今! ここで!」





 * * * * *





 木々の間からこぼれる夕方の木漏れ日が、わたしとヴォルフを照らしていた。

 昼食のあと、わたしは温泉に入って禊をしてから、女神様が贈ってくれた雪白のドレスを身に着けた。
 首から肩にかけての襟ぐりが大きく開いたドレスは、コルセットの部分が綺麗なレースで彩られている。少し裾が長くて引きずってしまうのが気になるけれど、「そういうものだからいいのよ」と女神様は微笑んでいた。

 ヴォルフはいつもとそんなに変わらない服装だ。白いチュニックに生成のズボン。
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