【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 でも、普段からかっこいいので、今日も信じられないくらいかっこいい。

「ヴォルフ、ちょっと頭を下げて」

 眷属神達が花畑から摘んできてくれた花々で作った花冠をヴォルフの頭にのせた。
 照れくさそうな様子が可愛い。

「マリアーナも」

 わたしの頭にはヴォルフが花冠をのせてくれる。

 大樹の張り出した二本の枝に長い紗の布がかけられていた。
 二枚の紗の布の間、大樹の幹の前に小さな机が置かれ、それが祭壇の代わりになっている。
 供えられているのは泉で汲んだ新鮮な水と、湖畔の花畑で摘んだ色とりどりの花、森の木々の恵みの果実。

「では、結婚式を始めます」

 女神様が祭壇の後ろに立ち、わたし達を呼んだ。

「女神レクトマリアの眷属神、銀の狩人ヴォルフ。そして、眷属神ヴォルフの眷属、最後の聖女マリアーナ」

 三頭の眷属神がお客様だ。黒獅子と白虎と金狐がわたし達を見守ってくれている。
 小鳥達のさえずりや小川のせせらぎが森からの祝福のよう。風が紗の布を揺らし、夕暮れの島に夜の空気を運んでくる。
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