【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
9.それから……
レクトマリア神聖王国、最後の聖女――。
史上最強の加護を持つ彼女は、国王と女神の御使い、ふたりの男に愛された。
聖女は御使いが神の一柱であると知りながら、人と神との禁断の恋を選び、ともに女神レクトマリアのみもとへと旅立っていったという……。
「そのキンダンの恋の御使い様がねー、凄い美形なんですって!」
「…………」
世間ではそんな噂が立っているらしい。
確かにある意味、そのとおりなんだけど……、事情を知らない人にはわたしがまるで死んでしまったように聞こえないかしら? 女神様のみもとに旅立ったって。
「でも、ヴォルフよ、ヴォルフ! 笑っちゃうわよね~」
噂話を持ってきたのは、最近下界の出来事に興味を持ちはじめた女神様。
しばらく人の世に飽きていたのだけれど、わたしとヴォルフの事件からまた好奇心が復活したらしい。
「ヴォルフは美形で、かっこいいです」
「どっちのヴォルフ? 狼? 人の姿? 狼ならわかるけど!」
「狼のヴォルフは……その、かっこいいのもあるけど、可愛いです」
「かわ……!?」