【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 頬を染めるわたしに、なぜか爆笑する女神様。
 だって、神々しい白銀の巨体で「クゥンクゥン」と甘えてくるヴォルフは、本当に可愛いのだ。

「『クゥンクゥン』……!!」

 あ、女神様が心を読めるのを忘れてた!

 面倒なので、ほとんどの時間はその読心の能力を抑制しているのだけれど、時々心の言葉が飛びこんできてしまうんだって。
 今回は運悪く聞かれてしまったようだ。

 女神様はツボにはまってしまったようで、おなかを抱えて、なんだか苦しそうに笑っている。

「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、ふー、苦しかった。笑いすぎたわ」
「…………」
「ごめんなさいね。あなたのヴォルフのこと、笑っちゃって。ぷぷぷ」

 また笑いがこみあげてきたのを、なんとか自制する女神様。

 ヴォルフがいなくてよかった……。

 ヴォルフは今、外で眷属神のみんなと作業をしている。砂浜の温泉で、浴槽を広げたり、日差しを遮る屋根をかけたりすると言っていた。

「お詫びに月の道を一度開いてあげるわ。会いたい人がいるんでしょ?」
「月の道を? あ、ありがとうございます!」





 * * * * *




< 234 / 294 >

この作品をシェア

pagetop