【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
満月の夜、ひそかに向かった先は王都にある大神殿だ。
月の道とは、女神様の通り道。
眷属神達も満月の夜だけは女神様の力を借りて月の道を通り、遠くの場所へ一瞬で飛ぶことができるらしい。
わたしが身代わりの聖女になったばかりのころ、王家の離宮の庭へヴォルフが突然現れたのもそうだし、初夜の儀でわたしを助けてくれた時もそうだ。
「急に現れて、大丈夫かしら」
「女神を祀っている神殿なんだろ? なら、神使と聖女が来たって別にいいんじゃないか?」
呑気なヴォルフと腕を組んで、聖宮の庭を歩く。
大神殿の最奥にある聖宮はしんと静まり返っていた。一階の一部の部屋だけ、わずかに明かりがついている。
わたしは大神殿でお世話になった女性神官達が気になっていた。
とても良くしてくれたのに、ひと言の挨拶もできないまま、ヴォルフの花嫁になってしまった。きっと彼女達はわたしが女神様のみもとに行った――死んだと思っているだろう。
明かりのついた窓の中をそうっとのぞきこむと、そこには数人の女性神官がいた。
月の道とは、女神様の通り道。
眷属神達も満月の夜だけは女神様の力を借りて月の道を通り、遠くの場所へ一瞬で飛ぶことができるらしい。
わたしが身代わりの聖女になったばかりのころ、王家の離宮の庭へヴォルフが突然現れたのもそうだし、初夜の儀でわたしを助けてくれた時もそうだ。
「急に現れて、大丈夫かしら」
「女神を祀っている神殿なんだろ? なら、神使と聖女が来たって別にいいんじゃないか?」
呑気なヴォルフと腕を組んで、聖宮の庭を歩く。
大神殿の最奥にある聖宮はしんと静まり返っていた。一階の一部の部屋だけ、わずかに明かりがついている。
わたしは大神殿でお世話になった女性神官達が気になっていた。
とても良くしてくれたのに、ひと言の挨拶もできないまま、ヴォルフの花嫁になってしまった。きっと彼女達はわたしが女神様のみもとに行った――死んだと思っているだろう。
明かりのついた窓の中をそうっとのぞきこむと、そこには数人の女性神官がいた。