【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 その時、思いもしなかった告白に慌てふためいていた気持ちが、すっと冷めた。

 そう、わたしは『聖女モーリーン』。
 こうして愛を語られ、大切にされているのは、仕立て屋の姉娘マリアーナではない。
 わたしは、あくまで身代わりの聖女なのだ。

 そして、聖女の真実。
 聖女は国のために、王に身を捧げる……。

 陛下が何を欲しようと、わたしが何を思おうと、聖女の初夜権はこの人にある。
 それは変わらない。変えることができない運命。
 ただ、こうして気慰みでも愛を口にしてくれる陛下は、思ったより親切なのかもしれない。

「陛下……、聖女の、その……力については、神殿で聞きました。覚悟はしております。だから、そのようなことは仰らないでください。お妃様がお可哀想です」

< 24 / 294 >

この作品をシェア

pagetop