【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
10.なぜかもふもふに溺愛されています
あたたかい……。
白銀の狼のもふもふは、最高のお布団で最強の安眠薬だ。ふかふかしていて、陽だまりの匂いがして、安定感も抜群で。
わたしは横たわるヴォルフのおなかにもたれかかってうとうとしていた。
ここは湖畔の花畑。
朝、ヴォルフに小舟で岸まで連れてきてもらった。
最近あまり食欲がわかなくて……、良い匂いの花でも食卓に飾ろうかなと思って花を摘みに来たのだけれど。
「眠い……」
眠くて、だるい。
昨夜は……ヴォルフに抱かれている最中にいつの間にか眠ってしまっていた。だから、そんなに疲れているわけではないんだけど……。
「……大丈夫かな?」
「うむ」
「今までこのようなことはあったのですか?」
こそこそと話しあう声がする。
……男の人が、三人……?
ううん、この島に人間の男性が入ってくるわけがない。ヴォルフが大神域のまわりのけもの道に、大型の生き物が入ってきたら鈴が鳴るような仕掛けを設置したらしいし。
ということは……誰?
「グルルル」
この唸り声はヴォルフ。