【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 振り返りヴォルフの金色の瞳を見つめると、強い視線が落ちてくる。わたしは微笑んでヴォルフの鼻に口づけた。

「くっそ! 見せつけやがって!」
「これはこれは」
「むぅ……」

 眷属神達は急に閃光を発すると、獣の姿になった。「グオォォォォ!」と咆哮しながら三頭で湖岸を走り出す。
「番が欲しいー!」と叫んでいる……ような?

「おまえ達! 今後マリアーナの前では人化禁止だ!! ……ったく」

 ぶつぶつ言いながらも楽しそう。仲間っていいな。





 * * * * *





 女神様が島を訪れたのはその日の午後。
 わたしの不調を心配したヴォルフと眷属神達が女神様を呼んでくれたみたい。

 木陰に置いた椅子に向かいあって座り、女神様はわたしの額や首筋に手をあてて考えている。ヴォルフと獣姿の眷属神達が、まわりで息を詰めて見守っていた。
 そして、女神様はじいいいっとわたしを見て破顔した。
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