【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 女神様の影響力が弱くなっている理由は聖女の交代以外にもあると、ヴォルフが以前言っていた気がするけれど……。ヴォルフによると、愛と性、つまり愛情と快感を捧げれば、女神様はお喜びになるとのことなので、結婚のにわか景気が女神様のお力になっているのかもしれない。

 ともかく世間が活気づいているのはうれしいことだと思う。

「クゥンクゥン」

 夜、寝台の上で、わたしは白銀の狼に顔を舐められまくっていた。

「ふふ。ヴォルフ、くすぐったいわ」

 ヴォルフはパッと人間の姿になると、わたしを抱きしめて、また口づける。
 何度も何度も降ってくる、優しい口づけの雨。

「ヴォルフ、大好きよ」
「俺も好きだ。愛してる」

 わたしはまだ平たいおなかにも声をかけた。

「赤ちゃん達も大好きよ。待っているから、元気で生まれてきてね」

 ヴォルフもちょっと怖々とわたしのおなかを撫でながら柔らかな声で話しかける。

「いつでも生まれてこい。俺が絶対守ってやるからな」
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