【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
おまけ 聖女様の誕生日
1.新しいお祭りが始まるそうです
わたしの故郷の街で『聖女降誕祭』という新しいお祭りが催されるという噂を聞きつけてきたのは、眷属神のみんなだった。
「わー、ナハト、ふがふが言ってる。かわいー!」
「今、グラウが私を見て笑いましたよ。これは将来有望ですね。私の弟子にしてあげましょう」
「うむ。……小さい」
三人は覆いかぶさるようにして、庭の芝生に敷いた柔らかい布の上に転がる双子の仔狼をあやしている。
人間の姿をとった立派な大人の聖獣達が、赤子の興味を引くために次々と妙な仕草をしているのがおもしろい。
舌を出したり目を剥いたりして一番変な顔をしているのが、金狐のルナール。最年少の眷属神だ。
黒い色がひと筋入った長い白髪の青年は白虎のティグリス。凄く綺麗な男のひとなんだけど、言うことが時々おかしい。
おっかなびっくり子供達の頬にさわっている体格のいいひとは、黒獅子のレオン。強面な見かけに反して、とても優しくて穏やか。
女神レクトマリアの眷属神三人は、わたしとヴォルフの息子達にちょくちょく会いに来る。そのたびに子供用のおもちゃをお土産に持ってきてくれるし、人の世界の噂話も教えてくれた。