【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 あら? さっき見た時よりも人数が増えている? しかも、空中で二回転、三回転……、何回転もしてる。これってほぼ浮いてない⁉

「もしかしてルナール、ティグリス、レオン⁉」

 大道芸人風の格好をして仮面をつけているけれど、たぶんそうだ。

「追いかけてきたの⁉」

 舞台にいた人間の軽業師はあっという間に三人の動作についていけなくなり、舞台から降りた。
 眷属神達は縦横無尽に動きまわったあと、舞台の中央に集まり、拍手喝采の観客に礼儀正しくお辞儀をしてみせる。

「本日は聖女降誕祭の開催、おめでとうございます」

 金色の髪をひるがえしたルナールが、よく通る声で祝辞を述べた。
 続いてティグリスが大きく手を振ると、その指先から手品のようにぶわっと白い花びらが舞い散る。

「聖女様の誕生日を女神レクトマリアも祝っていることでしょう」
「……うむ」

 ティグリスの言葉に、ひときわ大きな体躯のレオンがうなづく。レオンの手のひらからも、花吹雪があふれ出た。
 舞台の周囲に花びらが舞う様子は、とても美しくて華やかだ。
 わーっと観客がわく。お祭りは初日にして最高潮の盛りあがりになったみたい。
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