【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「あいつら、俺より目立ちやがって……」
「キュンキュン!」
「キュンキュン!」

 興奮しきった仔狼達がヴォルフの腕から飛び出した。

「あっ、グラウ! ナハト!」

 危ない!

 でも、赤子といえども神狼の息子だからか、グラウとナハトは宙でくるりと回転し見事に地面に降り立った。
 よかった……。

「もう、ふたりともびっくりさせないで。……え⁉」

 しゃがみこんで仔狼達を抱きしめようとしたら、そこには見知らぬ男の子が二人いた。まだ幼児だけれど、自分の足でちゃんと立っている。

 だ、だれ?

 ふわふわした灰色の髪の男の子と、くるくるした真っ黒な髪の男の子。顔はよく似ていて、兄弟だとすぐわかる。

 この子達は――、

「もしかして、グラウとナハト?」
「おお、二人とも変化できるようになったのか」

 ヴォルフがやはりしゃがんで、二人の頭をぽんぽんと撫でた。グラウもナハトもうれしそうに、にこーっと笑った。

「うんっ! ぼく、ぐりゃう」
「ぼく、にゃはと」
「本当にあなた達なの? 母さん、びっくりしたわよ」
「かーしゃん!」
「かーしゃん!」

 ちっちゃな毛玉の弾丸のように、飛びついてくるふたり。その姿は仔狼の時とまったく変わらなくて、笑ってしまう。
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