【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 まだまだ赤ちゃんだと思っていたのに、いつの間にかこんなに大きくなっていたなんて。
 うれしくて涙が出そう。最近、涙もろくなったみたいで困っちゃう。

「あ……」

 ふとここが街中だと思い出して周囲を見まわすと、みんな大道芸に夢中で足もとの小さな子供は目に入っていないようでホッとした。

「かーしゃん、ぼく、おじしゃんたちとあしょんでくる!」
「あしょんでくるー!!」

 グラウが幼児とは思えない身体能力で走り出し、舞台へ飛び乗った。
 ナハトも同時に飛び出したけれど、急に止まってわたし達のところに戻ってくる。そして、ヴォルフを見上げて、こてんと首をかしげた。

「とーしゃんもいっしょにあしょぶ?」
「そうだな……」

 ナハトと同じ角度で首をかしげるヴォルフ。
 少し悩んでから、ナハトの丸いおしりをポンとたたいた。

「行ってこい。俺はここでおまえ達の母さんを守っている」
「あい!」

 元気よく返事をしたナハトが身軽に駆け出して、舞台に上がる。ナハトもグラウや眷属神達とともに、楽隊の奏でる音楽に合わせて跳ねまわりはじめた。
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