【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
番外編
【コミカライズ記念】聖女マリアーナの肖像画
2022年11月24日、宙出版のコミック誌『恋愛白書パステル』にてコミカライズがスタートしました! コミカライズ記念の番外編をお届けします♪ 応援、何卒よろしくお願いいたします!
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「マリアーナ、これはなんだ?」
わたしは店先の果物から目を上げて、ヴォルフの声がしたほうを見た。
「なぁに? どうしたの、ヴォルフ」
さっきまで隣にいたのに、ヴォルフはいつの間にか、少し離れた道端にしゃがみ込んでいる。なにをしているのかと思ったら、四角い敷物の上に並べられた、大小さまざまな絵を眺めていた。
ヴォルフの前には中年の男性が座っている。大きめの街だとたまに見かけるけれど、お土産用の絵を売っているのだろう。
わたしたちは久しぶりに、人間の住む街へ日用品の買い物に来ていた。
今回は双子の息子たち――グラウとナハトも一緒にやってきたのだけど、彼らは街に入るなり駆け足で姿を消してしまった。やんちゃざかりの男の子たちは、なにやら気になるものを見つけたらしい。
(でも、ふたりももう十歳だし、聖獣の血を引く子たちだもの。子供だけで行動しても問題はないわよね)