【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
6.聖女教育を受けています
王都の大神殿は、わたしの街の東方神殿よりも何倍も大きくて立派だった。
白い石造りで雰囲気は似ているけれども、規模が違う。背の高い壁の向こうに、さらに高い建物がそびえている。何本もの太い柱が神殿の建物を取り囲み、神々の姿が彫刻されていた。
「陛下、ここまで送ってくださってありがとうございました」
「聖女継承の儀で会えることを心待ちにしている、私の聖女……モーリーン」
わたしがお礼を言うと、国王陛下はモーリーンなら惚れ惚れしそうな男くさい笑顔で、わたしの手の甲に口づけた。
心がズキッと痛んだ。
国王陛下と別れの挨拶をしてから、内門をくぐる。
ここからは奥殿。陛下といえども入れない、聖職者のみが暮らす聖域なのだ。
手入れの行き届いた中庭を眺めながら長い回廊を歩いていくと、天井の高い豪華な建物の中に入る。いくつもの扉の並ぶ廊下はピカピカに磨かれており、あちこちに花の活けられた高価そうな花瓶が置かれていた。
その建物を通りすぎて、さらに華やかな建物へと入っていく……。
「ふわぁ……凄い」
「最初はどなたも驚かれますね」