【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「きゃあ!」

 バチバチッと音を立てて、水晶のまわりに激しく火花が舞った。天井に向かって真っ直ぐに、閃光と白い煙が立ちのぼる。

「なんだ、何が起こった?」
「陛下、ご無事ですか!?」

 大広間にいる人々がざわめき、近衛騎士が国王陛下に駆け寄った。
 水晶のそばに立っていた神殿長が、大声で叫ぶ。

「水晶が……!!」

 聖なる水晶が――一点の曇りもなく透き通っていた水晶が、わたしの目の前で真っ黒になっていた。

「聖なる水晶が……」

 その黒い球は、無惨にひびわれていた。





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