【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
第二章 身代わり聖女、追放される
1.鳥籠からの解放
失敗に終わった聖女継承の儀から、十一日目の早朝。
王宮への参内を命じる急使が来た。
いよいよわたしは裁かれるのだろうか……。
儀式の最中に聖なる水晶が火花を上げて真っ黒になってしまうという、前例のない事件。
たとえ極刑が下ったとしても、決して冤罪ではない。わたしは確かに国で唯一の聖女の名をかたっていたのだから。
濃い紫に変化してきた夜空を見上げながら支度をし、わたしは神官達と王宮に急いだ。
今度は儀式を行った大広間ではなく、贅沢な内装の応接室らしき部屋に通される。
「マリアーナ……!」
そこには国王陛下と神殿長、何人かの貴族と護衛の騎士達、そして思いもかけない人達がいた。
わたしの本当の名前を呼んだその人は、双子の妹モーリーン。
「マリアーナ、なんて恐ろしいことをしてしまったの」
モーリーンは大きな瞳に涙を浮かべて、胸の前で両手を握りしめていた。
モーリーンの後ろには青白い顔をした父さんと母さんもいる。母さんは父さんにすがりつき、ガタガタと震えていた。