【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 ヴォルフが女神様の御使いなら、わたしがヴォルフにふれることも許されないのではないだろうか。

 わたし……。
 やっぱりヴォルフのそばにいちゃ駄目なのかな。

「クゥン、クゥゥン」

 ヴォルフが焦ったように、わたしの頬を舐めた。

「あ、また泣いてた……? 心配かけてごめんね」
「クーン」
「女神様は……ううん、ヴォルフは、わたしを許してくれる?」
「クゥウゥン」

 何を言っているんだ、当たり前だ。
 そんなふうに聞こえる。

「ふふ、ありがと」

 わたしは罪を犯した。
 けれど……。

 自分勝手な解釈かもしれないけれど、ヴォルフはわたしを許し、すべてを受け入れてくれているみたいだった。
 ヴォルフといると大きな優しさにつつまれているようで、誰といるよりも安らぎを感じた。

 白い月の夜。
 わたしは思っていたはずだ。

 ヴォルフと一緒にいたい、と。
 聖女や初夜の儀のことなど忘れて、ただヴォルフのそばにいたいと……。

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