【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
きゃあきゃあとはしゃぎながら、ささやきをかわす若い女性達。
わたしのことより、ヴォルフが魅力的で人目をひきすぎている気がする……。
なんだかちょっとおもしろくなかった。
「そこの綺麗なおねえさん、寄ってかない? おいしいよ!」
町の中心の広場から放射状に何本か道があり、そのうちの一本が食べ物の屋台が集まる通りになっている。
その通りをぶらぶら歩いていると、十歳くらいの男の子が声をかけてきた。
肉を串に刺して焼いている香ばしい匂いがする。ちょうどお昼時で、おなかがグゥとなった。
「おいしそう」
「おいしそうじゃなくて、うまいんだよ」
男の子は自慢げだ。
「こら、生意気言ってるんじゃないよ」
隣で仕込みをしていた大人の女性が、男の子の頭をポンと叩いた。男の子の母親なのだろう。
「でも、うまいのは本当だよ。よかったら食べていっておくれ」
その女性、屋台の女将さんはわたしとヴォルフに向かって、愛想よく笑った。
「ヴォルフ、いい?」
「ああ」
正体は狼なのになぜかいつも携帯している小銭で、ヴォルフが串焼きを五本買う。一本がわたし、残りはヴォルフ用だ。
わたしのことより、ヴォルフが魅力的で人目をひきすぎている気がする……。
なんだかちょっとおもしろくなかった。
「そこの綺麗なおねえさん、寄ってかない? おいしいよ!」
町の中心の広場から放射状に何本か道があり、そのうちの一本が食べ物の屋台が集まる通りになっている。
その通りをぶらぶら歩いていると、十歳くらいの男の子が声をかけてきた。
肉を串に刺して焼いている香ばしい匂いがする。ちょうどお昼時で、おなかがグゥとなった。
「おいしそう」
「おいしそうじゃなくて、うまいんだよ」
男の子は自慢げだ。
「こら、生意気言ってるんじゃないよ」
隣で仕込みをしていた大人の女性が、男の子の頭をポンと叩いた。男の子の母親なのだろう。
「でも、うまいのは本当だよ。よかったら食べていっておくれ」
その女性、屋台の女将さんはわたしとヴォルフに向かって、愛想よく笑った。
「ヴォルフ、いい?」
「ああ」
正体は狼なのになぜかいつも携帯している小銭で、ヴォルフが串焼きを五本買う。一本がわたし、残りはヴォルフ用だ。